長らくサイトの日記をほったらかし、掲示板にはちょくちょく顔を出してゐた私ですが、今日、衝撃的なことを発見したので、思はず日記を更新します。
といふのは、JIS X 4156:2000が、いつの間にかJIS X 4156:2005になってゐたことです。一般の方には「何それ?」でせうが、自称ISO-HTMLマニアの私にとってはびっくり仰天でした。
知ってをられる方には今更の話でせうが、今のところ、WWWを探しても、この話題に言及したサイトは殆ど無かったので、私だけでも書いておくことにしました。
何故今日気附いたのかと云ふと、たまたま学校の図書館に寄った時、読み物を探してゐて、何となくJISの規格書を手に取ったからです。Xの規格書を集めたファイルを開き、前にも読んだことの有る筈の4156を読み始めたら、よく見ると2005年版に改正されてゐたので、驚きました。しかし同時に、この偶然に感謝しました。その御蔭で、認識を新たにし、かうして記事を書けます。
JISは、それぞれの規格ごとに、制定してから5年以内に見直す(確認・改正・廃止)ことになってゐるさうです。これに従ひ、2000年10月に制定されたJIS X 4156:2000も、2005年3月にJIS X 4156:2005として改正されてゐます。
当初は、2000年版の規格に「追補」を加へる形で、2005年版に改正される計画だったのが、見易さの点や、変更点が少いこと等から、改正部を組み込むことに変更になったさうです(巻末の「解説」に依る)。
2005年版への改正で何が変ったかですが、変更点が列挙されてゐる訣ではないので、正直言ってはっきりしません。ただ、1つ大きな違ひが有ることが判ってゐますので、それを次に示します。
2000年版では、ただ単にISO/IEC 15445:2000の翻訳でしたが、2005年版では、ISO/IEC 15445:2000の改訂版、Corrected version:2003でなされた修正を反映してゐます。そのことはJIS X 4156:2005の本文に書かれてをり、該当箇所を次に引用します。
今回の改正では,日本工業規格を国際規格に整合させるため,ISO/IEC 15445:2000 [Information Technology−Document Description and Processing Languages−HyperText Markup Language (HTML)]のCorreced version (2003-06)を基礎として用いた。
或いは、巻末の「JIS X 4156:2005 (ISO/IEC 15445:2000/corrected version:2003) ハイパテキストマーク付け言語 (HTML) 解説」にも書かれてをり、多少長いですが、該当箇所を次に引用します。
W3CのHTML 4.0がHTML 4.01[10]に改訂されたことを受けて, ISO/IEC JTC1/SC34は, ISO/IEC 15445:2000に対するTechnical Corrigendum 1 (Cor.1)を作成するプロジェクトを立ち上げ, Cor.1の原案[11]に対する2001年11月を期限とする投票を行った。これは承認されて, 2002年3月にはITTFに対して, 投票コメント対処[12]と共に, Cor.1の最終テキスト[13]が送られている。
その後, 2003年4月になってCor.1のエディタからエディタレポート[14]がJTC1/SC34に配布され, Cor.1の発行は止めて, その内容をISO/IEC 15445:2000 (First edition)に組込んだISO/IEC 15445:2000 (First edition, Corrected version)を発行するとの通知があった。Corrected versionは, 2003年6月に発行[15]された。
(中略)
ISOにおける改訂作業に合わせてJIS改正の業務計画を策定する段階では, Cor.1に一致する追補を作成し発行することになっていた。Cor.1でなくCorrected versionが発行されたことを確認した後, 経済産業省の担当官を含めた打合せが行われ, Corrected versionにおける変更箇所が多くないことを考慮して, JISにおいては計画どおり追補で対応するとの方針を確認した。
(中略)
この原案は, 規格調整委員会のレビューを受けた後, 経済産業省の担当者の審査を受け, その段階で"読みやすくするために, この追補を組込んだJISにする。"との方針変更が原案作成委員会に通知された。この方針変更に従って, JIS X 4156 追補1原案は, JIS X 4156改正原案に修正され, 2004年12月の日本工業標準調査会標準部会の情報技術専門委員会での審議を受けて承認された。
さて、実際に附属書BにあるDTDを見ると、コメントに追記された箇所が有ること等が解ります。
例へば<TEXTAREA>
の属性を定義する部分には、2000年版には無かった次の文言が追加されてゐます。
The <TEXTAREA> element should be used only in the content of a <FORM> element.
或いは、マーク付けノートなどで話題となった、IDの素片識別子問題への対処法も記されてゐます。
It is recommended that authors of HTML documents specify both ID and NAME attributes, and use values restricted to the 40 characters "ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ.-_:0123456789". When both attributes are specified, they shall have identical values.
この変更の結果、JIS X 4156:2000)に適合する文書でも、JIS X 4156:2005の定める「推奨」(should, recommend)の要件からは外れる可能性が有るので注意が必要です。
例へば、既存のJIS X 4156:2000適合文書で、フォーム回りの要素を<FORM>
の外に置いたり、IDに小文字を使ったりしてゐると、その文書はJIS X 4156:2005に適合してはゐますが、JIS X 4156:2005的には推奨できない内容を含んでゐることになります。
JIS X 4156:2005 (2)に続きます。