「ヤミと帽子と本の旅人」と「朱」の接点～「稜線黄霞」と「朱」

「稜線黄霞」と「朱」

まづ始めに、「稜線黄霞」はゲーム「ヤミと帽子と本の旅人」の、「朱-inst-」はゲーム「朱」の音楽である。詳しくは後述の用語集を参照されたい。

これを踏まへた注目すべきこととして、次の2つの区間に、非常によく似たフレーズが出てくる。

ここで、それぞれのリンク先は、該当部分を引用した音声ファイル(Ogg Vorbis)である。

特に次の区間は、コード進行や速さこそ違ふものの、メロディの運び、調(イ短調)、楽器(恐らくviola)が全く同じである。

ここまで似てゐると、無意識の偶然ではなく、意識して似せたと考へるのが自然である。

もし「稜線黄霞」の方が後から作られた、もしくは両者が同時に作られたものだとすれば、「ヤミと帽子と本の旅人」では「世界」が「本」の形で幾つも有ることから、「とある本に『朱』の世界が有る」といふことを演出した、と考へられる。

逆に「朱-inst-」の方が後から作られたのだとすれば、「朱」の世界に合ふ音楽を、「ヤミと帽子と本の旅人」に存在する幾多の「世界」の中から選び出してきた、と考へられる。

参考: コード進行: 「稜線黄霞」: FM7 - Em7 - FM7 - G; 「朱-inst-」: B^♭⁽⁹⁾ - Am⁽⁹⁾ - B^♭⁽⁹⁾ - Am⁽⁹⁾

「朱-inst-」: 出典: 「朱オリジナルサウンドトラックプリミティヴ (2)」 9トラック目; 作曲者: 不明(「朱」の作曲者は上松範康氏なので恐らく同じ); ゲーム「朱」のテーマ曲「朱」(1トラック目に収録)の歌無し版だが、調も楽器も違ふ。; ねこねこソフトの公式ウェブサイトにある「朱-Aka- inst ver」の0:39～0:48(0:39～0:45)でも、調は違ふものの、先と同じフレーズを聞ける。
「稜線黄霞」: 作曲: 上松範康(feel); 出典: 「ヤミと帽子と本の旅人イメージサウンドトラック」 3トラック目
「朱オリジナルサウンドトラックプリミティヴ」: 製作: Lantis; ゲーム「朱」のサウンドトラック。2枚組CD。
「ヤミと帽子と本の旅人イメージサウンドトラック」: 制作: feel; ゲーム「ヤミと帽子と本の旅人」の初回限定版特典CD。; ゲーム本篇の音楽とは別に、「ヤミと帽子と本の旅人」の世界を意識して作られたもの。
「朱」、「朱 -Aka-」: 制作: ねこねこソフト; 発売日: 2003年6月13日
「ヤミと帽子と本の旅人」: 制作: ROOT/有限会社オービット; 発売日: 2002年12月20日 (ErogameScape－エロゲー批評空間－ヤミと帽子と本の旅人)