鏡音レンの「蒼い鳥」が出来るまで

実は2008年初頭に「鏡音リン・レン」を購入しまして,何曲か歌ってもらった分を,ひっそりとニコニコ動画などに投稿してゐます。

今回は,ダンゴムシさん(通称「ピアニート公爵」)のピアノ独奏版「蒼い鳥」を聴いて感銘を受け,自重できずに歌声を附けてしまひました。この文書では,その工程を簡単に記しておきます。

因みに,私はDTMに関してはド素人です。DAW関係のソフトウェアも全然持ってゐません。その為,この文書は「誰かの為のアドバイス」と云ふよりは,「私の場合はかうした」程度の記録だと思って御覧ください。

作業工程

作業の流れを図に纏めると,次の様になります。この図が全てだと言っても良い位です。

[作業の流れ図](流れ図のSVG版)

最初と最後の,動画の分離や合成を除くと,作業工程は大きく2つに分れます。歌声を作ってピアノ独奏に合せる部分と,歌詞の字幕を作って映像と合成する部分です。以下,それぞれについて簡単に補足説明します。

音楽の作成

原曲が女声なので,最初はリンに歌ってもらってゐたのですが,レンの方が歌い易さうだったので交代してもらひました。後でOSTERさんが次の様なことを言はれてゐることに気附いたのですが,もう大分作ってゐましたし,寧ろレンとの附き合ひ方を学べると思って,気にせず突き進みました。

キャラクターボーカルシリーズの調整難易度としては,ミク<リン<レンという印象を受けました。初心者の方はミクから入るのがいいと思います。

また,自分で「これでもう完成だらう」と思った音楽でも,一度第三者にレビューしてもらふと,非常に的確な批判をもらへます。私の場合,完成だと思った版から2回ほど大きく修正しました。結果的に,より万人に聴き易い,優しい音楽に近づけられたと思ひます。

音楽の加工処理(効果附け)

音楽の加工処理として,SoundEngine Freeを3回使ってゐます。

ピアノの処理
歌声の低周波成分と衝突して音が籠るのを避ける為,1ポイントイコライザーで467kHz附近を-1dBしてゐます。
歌声の処理
今回は,イコライザー⇒コンプレッサー⇒リバーブの順で効果を適用してゐます。この内,聴え方に大きく影響するのはイコライザーです。
まづ,パラグラフィックイコライザーで低音域(178Hz)と高音域(10.5kHz)を落とします(-6dB, -3dB)。これは,低周波はあまり聴こえないので,カットすると結果的に音圧を稼げますし,10kHz附近の高周波を弱めることで,耳につくキンキン声を軽減できるからです。
次に,1ポイントイコライザーで6.2kHz附近を+3.36dBしてゐます(⇒PIAPRO(ピアプロ)|音楽「鏡音レン籠もり声対策サンプル」)。これで,レンの籠った声が軽減されます。
その後は軽くコンプレッサーを掛け(自然なコンプレッサー),リバーブをプレート,ショートディレイの順で掛けて,歌声をピアノ演奏に馴染み易くしてゐます。口笛の部分には更に「長めのリバーブ」を掛けてゐます。
ミックスした音楽の処理
ピアノ独奏と歌声を合せた後に,音圧を上げる為,RMSコンプレッサーの「自然なコンプレッサー」を掛け,オートマキシマイズで-13dBを指定してゐます。

映像の作成

完成版とオマケ

映像と音楽を,合計300kbpsを超えない様に合成してFLV出力し(これはニコニコ動画に於けるエコノミーモード回避の条件で,元動画がさうなってゐたのに合せました),完成した動画がこちらです。

歌声のみを再生し,VOCALOID2 Editorの映像を附けた版も投稿してみました。「ボーカロイドってこんな風に編集するんだ」といふ参考になれば幸ひです。

オマケとして,VSQ等,この動画を作る際に使った一部のファイルを纏めて置いておきます。7-zip形式で圧縮してありますので,Noah等で展開して御覧ください。

附記

「蒼い鳥」について

蒼い鳥 (M@STER VERSION)
作詞: 森由里子
作曲: 株式会社バンダイナムコゲームス (椎名豪)
編曲: 塩入俊哉

この曲は「THE IDOLM@STER MASTERPIECE 05」に収録されてゐます。これをダンゴムシさん(ピアニート公爵)がピアノ独奏版に編曲して演奏されてゐる動画があり,その動画に更に歌声を足したのが私です。これらの方無くしては,今回の動画を作ることも無かったと思ひます。有難うございます。

使用ソフトウェア・素材一覧

今回の動画を作るにあたり,使用したソフトウェアと素材群です。どれか一つでも缺けてゐれば,今回の作品は成立し得なかったでせう。有難うございます。敬称略・順不同です。

参考資料

音声加工の方法やカラオケ字幕の作成等,技術的に参考にした資料です。有難うございます。先と同様,敬称略・順不同です。